バイトが午前で終わった為、家でゲームをしていたダレルはインターホンの音に顔を上げた。まだ昼だが誰か帰って来たらしい。高校生組のどちらかと思い、玄関へ。
いつもならば確認もせず玄関を開けるのだが、ダレルは鍵に伸びた手を止めた。
何やら不審な音が聞こえる。
カタカタカタカタカタカタ――
小さい音だが何度も何度も聞こえて来るそれに恐怖を覚え、足を止めた。
「な、何だよ・・・!?」
泥棒か?まさか、変な人じゃ――ああ、それは兄貴か。
失礼な事を考えていればもう一度インターホンの音が無情に響いた。というか、これだけ待っても鍵を使って入って来ないという事は家の人間じゃないのかもしれない。
それに気付いた直後から心臓がドクドクと早鐘を打つ。
こういう場合、自分以外の家族ならば何かしら対処法を編み出すのだが、生憎と働かない事以外は普通の人と変わらないダレルに突飛な思いつきなどあるはずもなかった。
「・・・誰もいないの?」
外からどことなく疲れ切ったような女の声。
聞き覚えのあり過ぎるそれにハッと我に返ったダレルは鍵を開けた。
「遅い」
「いや、ごめ・・・」
双子の姉、コーデリアである。目の下に隈を作っているのを見て、さすがに悪い事をしたと思った。