お題サイト「Mercy Killing」様よりお借りしました。
3年1組は所謂、国公立コースとかいう大学も上の方を、さらに推薦ではなくセンターを受けなければならないクラスだ。他のクラスでは大概の生徒は推薦で行きたい学校へ行くのだが、このクラスにいる以上、狙う大学は推薦が取れない大学である。
もちろん、大抵は2年の頃からのクラス持ち上がり。見慣れた顔ぶれが並ぶ事になる。
そんな1組の住人である赤羽美風は現在、首を傾げていた。校内での権力者たる彼女は割と学校に対して我が儘を言うのだが、今回、それをした覚えは無い。というか受験勉強でそれどころではない。
「・・・なぁ、~代。お前は去年、1組だったかな?」
「どうしたのさ、赤羽。僕は去年、3組だったじゃないか」
「うん・・・」
一人だけ人数が増えていると思えば、去年は違うクラスだったはずの~代青葉が増えていた。確かに彼は天才の名を冠するに相応しい勉強の出来る奴だったが、まさか3年で国公立に上がって来るとは思っていなかった。
「部活はどうしたんだよ」
「陸上部かい?あぁ、そろそろ引退だからね。インターハイへは行くつもりだから、夏休み終わりまでは頑張るよ」
「そう・・・」
「部活が終わったらやりたい事がたくさんある」
「まずは受験勉強じゃないの?」
「まさか。僕が落ちるとでも思っているのか?」
そう言って不敵に嗤う彼だったが、それが冗談じゃないという事ぐらい解る。ので、話題を転換。
「やりたい事?例えば?」
「そうだね」
くすっ、と微かに青葉が笑った。邪気があるようで無いような、子供っぽいが酷く大人っぽいような。矛盾しか内包していないような笑みだった。
「そうだね、恋、とかどうかな?」
絶句した美風はもちろん、何も応える事が出来なかった。