バナナの皮でも仕掛けとけ

お題サイト「無気力少年。」様よりお借りしました。



 帰り支度を終え、何とはなしに運動場を見た時だった。今日の運動場は陸上部が大部分を使って練習していたのだが、同じクラスの草薙人志と3組の~代青葉が会話しているのが目に入った。
 これはネタになるかもしれない。そう思い、私は再び椅子に腰掛ける。
 草薙くんは短距離のエース、~代くんは長距離のエース。種目もある意味正反対で対立する事が多い二人だが、やはり同じ部活に所属しているだけあって団結する時は団結する。男の子ってホントよく分からない。

「なぁ。慎が何か用事ねぇかってよ、青葉」
「用事?無いから何も言わないんだが・・・何故そんなに用事が欲しいのか分からないな」

 慎――と言えば陸上部の円盤投げ担当、宮路慎の事だろう。彼の情報は多岐にわたるが、どうも先輩に従順な実に扱いやすい部類の後輩である。よって、彼等がやや悩ましげに顔を曇らせているのが少し意外だった。
 ややあって、~代くんが首を横に振る。

「やはり無いな。残念だが、自分でどうにかして巻いてくれ。そして、僕は今からタイムを計るんだ。邪魔をするな」
「はぁ?俺だってなぁ、今から走んだよ」
「お前が走るのと僕が走るのじゃ意味が違う。お前はたかが数秒で終わるだろうが、長距離というのは3キロメートルを走るんだ。分かったら自分で解決するんだな」
「あぁ?短距離馬鹿にしてんのか」
「お前を馬鹿にしているんだよ」

 ――一触即発!?もっと仲良くしろよ!
 これ以上は話の発展など無さそうだ。やや残念に思いながら腰を浮かす。と、そこへ話題の人物である宮路くんが走り寄ってきた。まるで大型犬のようだ。

「あ、先輩!今から走るんですか走るんですよねッ!俺ジュース買って来ますよどうしますか!丁度、今朝購買で飲み物券当たったんですよさぁさぁ遠慮無く言って下さい!!」
「・・・いや飲み物はまだあるからいいよ、悪いね」

 無表情だが最高に困ったような声でやんわりと拒否する~代くん。しかし、草薙くんは嬉しそうに声を上げた。

「お、じゃあ俺はヨーグルッチな」
「分かりましたっ!!」

 パッと走り去る宮路くん。しかしそれを見て~代くんは実に不満そうな顔をした。

「だからお前は・・・馬鹿なんだ・・・買いに行かせたら、戻って来るだろうに。まぁいい。僕はもう行くから後は自分でどうにかしてくれ」

 くるりと踵を返す~代くん。しかし、次に言った草薙くんの一言に足を止めた。

「ま、バナナの皮仕掛けてりゃどうにかなるだろ」
「・・・お前、本当に絶望的な馬鹿だな・・・」