休み時間、隣のクラスへ用事があって廊下へ出ると何故か1年生の二人組がうろついているのを発見した。男女二人組だが彼等もマークしている人間なので自然な素振りで後を尾ける。
男子生徒の方は陸上部円盤投げが得意な
女子生徒、家研部と声楽部所属。
「誰を捜しているのかも分からないので見つけようがないですよぅ、慎くん。本当、頭のネジ抜けてますね」
「ははははっ!何の為に君を連れて来たと思っているんだい?外見の特徴だけで見つけるのが君の役目じゃないか、悠那。まったくこれだからお馬鹿は」
「捜すの止めますよ。ねぇ」
どうやら人捜しをしているらしい。誰を捜しているのかまでは新聞部の情報網を以てしても分からないが。
「名前は分からない、外見も分からない、そもそも何組に居るのかも分からないって・・・無茶振り過ぎです。私を何だと思ってるんですか。頭が良いのとエスパーはまったくの別物なんですよ馬鹿め」
「仕方ない。馬鹿な君の為にもう一度ターゲットの特徴を教えようじゃないか!いいかい、まず新聞部の女子生徒だ」
「・・・それだけ?」
「それだけ」
ん?もしかして私を捜して・・・?いや、新聞部2年女子などたくさんいる。それこそ一クラスに一人はいる事だろう。条件だけ指定して誰でも良いのならば名乗り出るが――
「新聞部女子っていう条件だけ一致してればいいのなら、一人知っていますよ」
「早く言わないか、それを」
「個人を捜しているのと条件が一致している誰かを捜すのでは意味が違います」
「新聞部で女子なら誰でもいい」
瞬間、ビシッと神埼さんに指を指される。
「だったらあの人がそうです。よく、家研部に取材に来るから知ってますよ」
「そうなのかい?あーよかった、俺、2年で知ってる人って言ったら先輩だけだよまったく・・・」
用事は至極簡単だった。陸上部のマネージャーが女子新聞部を捜していただけ。恐らくマネージャーが先輩だったので後輩の彼が捜しに来たのだろう。マネージャー系の女子は何故か新聞部を警戒している子が多いので。