正論でも他人に言われるとイラッとするよね。

お題サイト「Mercy Killing」様よりお借りしました。



 最近、六花が《高校》というものに入学したらしい。らしい、と言うのは興味が微塵も無かったためちゃんと話を聞いていなかったためだが、それにしても家に居ない事の方が増えた。
 学校まで着いて行ってみようかと考えた事もあったが、如何せん面倒だったので断念したのは記憶に新しい。しかも、人が集まる所には必ず《視える》人間が一人二人はいるもので、そういった連中に視つかるのも勘弁願いたかった。

「それで何が言いたいかというと、俺は今、置いてけぼりにされた飼い犬の気分を味わっているわけなのだよ、分かるか、六花?」
「人を捕まえておいて言う事それ?他に無かったの他に。もういいなら宿題するから黙っておいてよ。お母さんか誰かがいつ2階に上って来るかも分からないし」

 ――連れない態度というか、最早完全に邪険にされているのを肌で感じ、わざとらしく溜息を吐く。このくらいで折れるメンタルならば最初から神に「俺の方が絶対強いって」などと宣言したりしていない。
 なおも自分で分かる程鬱陶しく宿題とやらに励む六花へ絡むと、ようやくその人間の少女は実に渋い顔をしてこちらを見た。

「別に、家で待ってる必要はまったく無いと私は思うわけよ、堕天使様。暇ならどこか出掛ければいいし、人間のふりしてそこら辺のお姉様方を引っ掛けるのも良いんじゃない?」
「面倒」
「えぇ・・・じゃあ、私の宿題をする」
「喧嘩売ってるだろう?」

 はぁ、と肩を竦めお手上げのポーズを取る六花。そしてプッ、と嗤った。

「まあでも、仕方ないよ。だってルシフェル、友達いないし」
「・・・・」

 もちろん、そんな殊勝じゃない。
 ――このクサレ小娘がぁぁぁ!!