「意見がバラバラに分かれた以上、妥協案を採って貰うぞ。お前達に意見を完全に譲るような人格者は居ないだろう」
ちくちくと棘のある言葉を放ち、ヴェルトは考え込むように黙った。会議やら何やらで意見をまとめるのが病的に上手い人間がいるが、彼はまさにそういった類の人間だろう。そこだけはクレアもかっているので、黙って序列7位の言葉を待つ。
――が、そこで椅子に踏ん反り返っていたブラッドから肩を叩かれた。
「お前、本当に《
「無いよ、何もね。それどころか一目見た時からあの組織は絶対ヤバイって思ってたから関わった事も無い」
そいつぁすげェや、と序列1位は嗤う。
ならばお前はどうなのだ、と問えば暫し逡巡したブラッドはやはり笑みを浮かべたままに答えた。
「ヤバイって言えばヤバイだろうよ。俺は、どうして、《ローレライ》が、あんな一カ所に固まっているのか、皆目見当もつかねェ」
力強く、淡々と述べられたそれはその言葉が真実であることを如実に語っている。そうやって忌避している彼は、その割りには《音楽団》に関わる事をあまり嫌がらないのは何故だろう。
それを問おうとした矢先、何かの考えをまとめたアークヴェルトが口を開いた。
「ベタだが、情報収集しつつ、狙えれば仇討ちも狙ってみる、という全てを盛り込んだ案が一番だろう。単細胞のお前達には」
「ごめん、本当に謝るから機嫌直してヴェルト」
クレアの言葉を軽くスルーした彼は目頭を押さえながら、問題は部隊編成で誰をどこに分けるかだ、と言い出した。