意見を整理しよう、とアークヴェルトが怒りの表情のまま言った。先程の一件により彼の起源は底辺にまで落ち込み、恐らく元には戻らない事だろう。
据わった目のまま、1位の余裕からか口の端に笑みを浮かべたままのブラッドが口火を切る。こういう場合、最初に発言するのは決まって彼だ。それが傲慢なのか高慢なのかは知らないが。
「ま、俺は仇討ちよりその《ローレライ》の方が気になる。一目見れりゃそれでいいぜ」
「仇討ちには興味無い、って・・・あんた、私にヴィンディレス姉妹の仇討ちを持ちかけてきたのに?何て言うか、矛盾してるよね」
「あぁ?いやだって、ぶっちゃけ殺されたのはアイツ等の実力を見切る目が無かったからであって、俺等がその尻ぬぐいをするのは違うだろ」
事態を動かしてくれた事には感謝しているが、と肩をすくめたブラッドに対し、激昂したのはヴァッシュだった。机が割れるのではなか、というくらいに強く叩いて立ち上がる。
「てめぇコノヤロー!言って良い事と悪い事が――」
「止めておけ、ヴァッシュ。お前の言葉のボキャブラリではブラッドに勝てないぞ」
「ねぇ、俺お前に何かしたっけ!?」
憤る彼を牽制したのは相変わらず据わった目をしているヴェルト。そろそろ彼の怒りに再点火しそうだったので、全ての意見を遮るようにクレアは言葉を放つ。
「私はもう関わりたく無いからこのまま放って置いた方が良いと思うんだよね。だってさ、相手は《ジェスター》だよ。《ローレライ》もう一人いるみたいだし。無駄に犠牲者増やすだけだって」
「俺は絶対、姉妹の仇を討つぜ。組織ってのはそんなもんだろ?」
妙な闘志を燃やしているのは恐らく見間違いではない。ヴァッシュは仲間の死というのに並々ならない反応を見せるので、こういう案件は正直自分の身というより彼の身が心配である。
「――情報を集める必要がありそうだな。ちなみに俺は対立自体には反対派だ」