05.

 1階の広い部屋――俗に言う、会議室という部屋。
 召集された序列1位から7位までのうち、揃っていたのは4名のみだった。
 まず言うまでも無く1位たるブラッド。そして2位のクレア自身。5位のヴァッシュ。7位のアークヴェルト、通称ヴェルト。
 ――半分。それは多いのか少ないのか。クレアは参加しない常習犯なので7人から1を引いた6人で活動しているのか。
 聞くに聞けず、黙りを決め込んでいればブラッドが相変わらずの胡散臭い笑みのままで両手を挙げて言った。

「今日は多いなぁオイ!」
「多い方か・・・うわぁ、やる気が失われていく・・・」

 皮肉たっぷりに放たれた言葉。それに皮肉を以て返したクレアは一つ溜息を吐いた。《賢人の宴》が未だ国軍を倒せないのはこのやる気の無さが問題なんじゃなかろうか。統率が取れていない組織など烏合の衆――いや、烏合と言える程に数がいないのだからそれにすら成り切れていない。
 一抹の不安どころか直ぐさま組織を抜けたい気分になる。

「あれ?3位さんは?」
「来てねーぜ!」

 自信満々に答えたのはヴァッシュ。快活な笑みを浮かべる体育会系の彼はこういう場でなければ頼り甲斐のある男性なのだろうが、生憎と頭が弱そうな印象しか無いので発言を控えて貰いたい。

「あー!おいこら、クレア!てめぇ今、すっげぇ失礼な事考えてたろ!」
「気のせいじゃないかな。ってか、台風の目がいないなら会議とかする意味無いでしょう?止めようよ、ね」

 はぁ、とヴェルトが溜息を吐いた。常に胃薬が手放せない彼は《宴》内唯一にして無二の常識人である。よって、誰が提案したのか知らないが会議と言われてすっぽかせるような人間ではない。

「クレア・・・すまないが、奴は常に欠席だ。つまり、もとからアイツの意見を聞くつもりは無い」
「えぇ、ホント誰だよ集会提案者・・・」

 集会お開きをやんわり断られたクレアは本気で部屋に帰りたいと天井を仰いだ。