ろ ロマンスの星を追いかけて

「今日は星が綺麗だそうですよ、ドルチェ様」

 夜9時。そう言いながら部屋へ入って来たのは侍女の凛凛だった。朗らかな笑みを浮かべているが、何だか嫌な予感しかしない。私は今から創作活動に明け暮れるつもりなのだが。
 曖昧な笑みを返していればそんな事など意にも介さず、侍女はぐいぐいと話を進める。

「蘇芳様が外へ行くぞとお呼びです」
「えっ。いや、やる事あるから・・・今日は、いいかな」
「ですが・・・」
「まだ何かあるの?」

 すっ、と戸を手で指し示す。何だ、と思っていればそこから不知火蘇芳が顔を覗かせた。

「もう、蘇芳様がいらっしゃっています」
「マジか」

 こうして出したばかりのネタ帳は再び仕舞われた。