「俺はお前が羨ましい」 唐突に放たれた言葉に真白は瞠目した。視線の先に居るのはキリトである。彼は楽器の弦を弄くりながらもう一度同じ言葉を発した。 ――俺はお前が羨ましい、と。 「意味が分からないのだけど」 「そうだな。俺もよく分からない。が、俺はそうやって一つの事だけをやっていればいいお前が心底羨ましいらしい」 「はい?」 「極限体質と器用さはどちらが大切で尊いんだろうな」 呟いたキリトの顔は酷く冷たかった。