ゆ 友情の隣にある感情

「ねー、志紀さぁ」
「んー?何?」

 昼休み。友人である河野陽菜に宇佐美禎侑と昼食をとっていた無灯志紀は顔を上げた。そこには珍しく笑みを浮かべていない情報屋の呆れ顔がある。

「佐伯くんの事を結局どーしたいわけ?ちょーっとお姉さんに話してみせなさいよ」
「どうしたい、って意味が分からないけど」
「このままずっと友人でいるつもりなのか、と陽菜さんは訊いているのですよ」
「やっぱりゆっきーは意外とロマンチストだよね。自称、って感じがしてたけどさ」

 禎侑の的確な一言で陽菜の問いかけの意味を知った志紀は冷静に子犬のような後輩を思い浮かべてみる。彼とは現在も下校を共にしており、金がある日はコンビニへ寄ったりカフェ寄ったりと割と充実した帰り道を送っていると言えよう。
 ただそれが、陽菜の期待する『恋愛事』へ発展するかと言えば、是とは言えない。
 なぜなら志紀にそのつもりが一切ないからだ。

「それは京也くんに任せるよ。私、恋愛とかよくわからないから」
「恋はいいですよ、志紀さん。荒んだ心が一瞬で潤います」
「え、いやゆっきーさ、彼女とは連絡取れたの?」

 もちろんですよ、と頷く禎侑は成程、確かに青春を謳歌しているようだった。陽菜については彼女もあまり恋愛体質とは言えないので話を聞くだけで満足らしい。

「ま、あたしから言わせれば佐伯くんは競争率高いから。精々頑張って」
「何で私が頑張らなきゃいけないの・・・」