「えへへ」
「・・・何ですかこれ」
機嫌良さそうに笑いながら椅子に座り、足をぶらぶらと揺らしているノーラ姫にライアンはそう問うた。
眼前に広がるのは色取り取りのキャンパス。白いそれは無く、あるのはただただ目に痛い色を着けられた白くないキャンパスだった。これが所謂、蛍光色とかいう色なのだろうか。原色とそういった色ばかりで色付けられたそれに囲まれていれば目の奥がツン、と痛んだ。
「いやね、最近、ど派手な色付けに嵌っちゃってね!ああ!なんてエキセントリックなんだろう!」
「言ってる場合じゃねぇでしょう。目が痛いんですが」
「そうかい?私はそうでもないけれど・・・やっぱり君は、目が良いから」
「目が良くて損する話なんて初めて聞きましたよ」
笑いながら濃紺色の髪を踊らせ、キャンパスの間を縫うようにくるくる回る。
――嗚呼、目が痛い。