「花見っていうのはいいものだね!私は桜が大好きだ」
「はぁ。暑いですよ、俺は」
「ライアン!君はもっと風流な趣味を持つべきだよ!」
そうですかね、と呟いたライアンは当然のように隣に座っている第四王女を見る。桜ノ木の下でまるで子供のようにはしゃぐ姿は実に微笑ましい。
「知っているかな、ライアン」
「何でしょう?」
「桜の木の下には、死体が埋まっている、という話だよ。有名な話なのだけど、誰が最初に言い出したのかな?」
「そういえば、よく聞きますね。そんな話」
「――正直、私も驚いているんだよ。私がここに埋めたって事を誰かに見られたのかと思っていたんだ。少し前までね」
「・・・え」
話の雲行きが怪しくなってきた。
子供の無邪気な笑み程恐ろしいものはない。
「あの時は本当に吃驚したよ」
「・・・あの。何埋めたんすかね、ここに」
心なしか桃色の桜の花弁が赤っぽく見える気がする。
えへへ、とノーラ姫は笑った。
「亀だよ。昔、飼ってたんだ」
「生臭いですよね、亀って」