一日目

「ハァ?もうあたし達の存在バレちゃったわけ?」

 あり得ないんだけど、とうんざりしたように声を上げるアドレイド。それを落ち着けって、と窘めるのは年長者のラグだった。

「隣村の同胞が派手にやり過ぎたんだろ。ったく、迷惑な話だぜ」
「迷惑どころじゃないっつの。お腹一杯食べられるっていうからこの村にしたのに・・・ねぇ、あんたもそうでしょ?黙って良い子ちゃんぶってんじゃないわよ」

 唐突に話を振られた真白は黙って顔を上げた。楽譜を見つめていた彼女の瞳が月明かりを受けて赤く輝く。

「どうでもいいけれど、今日はどうするの?ほとぼりが冷めるまで待つ?」
「冗談じゃねぇぜ。腹減ってんだよ、ほとぼりとかいつ冷めるんだ?餓死しちまうぜ」
「けれど、今動いたら人狼狩りなんて始まりそう」
「そこを上手くやるのがあたし達の役目でしょ。あたしだって何日も空腹のまま待つなんて嫌よ」

 そうなるとやるべき事は一つだ。
 意地悪く嗤ったアドレイドは大袈裟に肩を竦めて見せる。

「まずは、今晩の獲物は誰なのかをはっきりさせるわよ」
「イリス一択だろ。あいつ、まだ他に何か知ってたら厄介だ」
「じゃあそれでいいけれど、アイツ等双子じゃない。どっちがどっちなのか見分け付かないわよ」
「私もつかない」

 一瞬絶句したラグはやはり盛大に溜息を吐くと分かったよ、と諦めたように頷いた。

「今晩の獲物狩りは俺だ」

人狼陣営
・ラグ
・真白
・アドレイド