一日目

「あーのさ。人狼、って知ってる?」

 唐突に呟いたのはイリスだった。双子のイリヤが即座に同意する。

「知ってるっつの」
「あぁ、私も聞いた事あるわ」
「うわ、喋んじゃねぇよ。黙ってりゃ女なのに」

 エドウィンがくすくすと笑った。穏やかな空間だったが笑い事じゃないんだけど、とイリスがうんざしたように呟く。

「隣の村が全滅したらしいよー」
「人狼騒動で?」
「そうそう。物騒だよねぇ」

 ――人狼。村人に紛れ込み夜な夜な村民を襲う人外である。
 もちろん、力関係上では圧倒的優位に立つ人狼に人間は為す術を持たなかった。ただ、彼等の活動時間は夜。月が昇り日が沈んだ後だ。

「あら、それってうちの村にも人狼が潜んでいるかもしれないって言っているみたいに聞こえるわ」
「「そう言ってんじゃん」」
「仲が良いわねえ」

 何話しているの、とシンシアが寄って来た。いつもフレディと一緒にいる彼女はハーヴィーがやって来た事により同年代の双子に興味を移したらしい。
 人狼の話よ、と簡単に説明するエドウィン。それを受けてシンシアはどうでもよさそうに頷いた。

「馬鹿じゃないの。そんないるかいないか分からないもの・・・明日、惨殺死体でも見つかったらみんなで魔女狩りの始まりね」

 どうせ何も起こらないだろうけれど、それだけ言い残したシンシアはトラヴィスに呼ばれて元の輪へ戻って行った。

「何だよアイツ」
「シンシアちゃんはいつもああよ。ちょっとお間抜けなところが可愛くてねぇ」
「お、おう・・・。イリス?どーかした?」

 別にと首を振った彼女はいつも通り食えない――人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「明日になれば全部分かる、ってね」
「意味分かんね」
「私も分からない」
「駄目じゃん」
「駄目だね」

初期人数:16

・アルフレッド=ヴィンディア
・イリス
・イリヤ
・マゼンダ
・ディラス
・真白
・ラグ
・リンネ
・トラヴィス
・アレン
・ハーヴィー
・フレディ
・アドレイド
・エドウィン
・サヴァナ
・シンシア