それは唐突に起きた。キリキリと腹――胃辺りが急に痛みだしたのだ。不知火蘇芳の部屋で読書に没頭していたドルチェは思わずその本を取り落とす。すると仕事をしていた蘇芳が怪訝そうな顔で振り返った。
「――どうした?」
「お、お腹が・・・痛い・・・」
「?」
眉根を寄せた皇子サマが椅子から立ち上がり横に座る。少しだけ不安そうな顔をしているように見えなくもない。
「医者を呼ぶか?」
「・・・いや、寝ておくよ」
「明かりは消すぞ」
「仕事しなくていいの?」
「構わん。どうせ大した物じゃ無い。たまには早く寝るのも悪く無いだろう」
その後、テキパキと片付けを終えた蘇芳がさっさと消灯。ベッドに入るまでの時間は僅か5分だった。
余談だがドルチェより先に蘇芳が寝付いた。