レックスがコンビニでバイトしたら

 その日、真白は冷たい物が食べたくなってディラスと共にコンビニに訪れていた。変な時間だからか、店員の他に客の姿は無い。
 早々に買う物を決めたらしいディラスの視線を感じながらも、アイスコーナーに視線を落とす。棒付きアイスはあまり好きじゃなかった。どちらかと言うと、アイ●の実とかそんなのが好きなのだ。

「お客さん、何買うか悩んでるの?」

 と、不意にたった1人しかいなかった店員に声を掛けられ顔を上げる。まるで邪気の無い、人懐こい笑みを浮かべた店員――名前はレックスと書いてある――だ。戸惑いつつも頷く。ディラスはその様を動物園の動物でも見るような目で観察していた。

「どんなのが好き?ハーゲ●ダッツとかあるけど」
「高いわ」
「じゃあ、ク●リッシュとかはどうかなあ。あ、俺はもちろんガリガ●くんが好きなんだけどさ。梨味とかサイコーだと思う」
「え、あ、そう・・・」
「正直ポタージュとかどうして発売したのか分からないような味だけど、お客さん食べたことある?」
「無いけど遠慮したいかな」
「だよな!」

 ――この店員・・・しつこい・・・。
 滅茶苦茶客に絡んでくる店員に一歩、二歩と後退る。そろそろアイスを決めねばいい加減相手をするのも疲れてきた。

「じゃあ、はい」
「?」
「梨味。美味しいよ!これにした方が良いって!財布に優しいし。というか、ガリガ●くんって優しさで出来てるよね」
「・・・そう」

 断るのも面倒になった真白はそのままそれを購入した。財布には優しかったが、何だか釈然としない気分である。