Destruction sound

真白&ディラス


「今更、って感じね。今日もお金が足りなかったの?」

 同室であるディラスを前に真白は尋ねた。机に向かっていた彼はちらりとこちらを一瞥する。きっと、初めて出会った頃ならば見向きもせず適当この上無い返事をされた事だろう。
 そんな真白の予想を半分沿う形でディラスが応じる。

「ああ。文句ならアルフレッドに言う事だな」
「どうしてお金持ちなのに、ぎりぎりのお金しか持たせてくれないの?」
「いやこれは恐らく確信犯だろう」
「嫌がらせされてるの、ディラス?」
「親切のつもりなのかもしれないな」
「ありがた迷惑の方ね」

 1度目は無断でベッドを使って熟睡した。2度目はさすがにディラスに対してそんな人道外れた仕打ちを取るわけにもいかず、一応ながらも《災厄》は問うた。

「ディラス、ベッド使う?ダブルだし、端っこに避けようか?」
「仮眠程度に使うだけだ、気にせず使っていい」
「電気消して良い?」
「ベッドは使わせてやるから明かりは僕のものだろう、普通に考えて」

 図々しい奴め、と呟いたディラスは再び机に向かう。がりがりと羽ペンを動かしているらしい。楽譜でも書いているのだろうか。
 放っておいてもよかったが、勝手に寝てしまうのもどうかと思うので仕事をしている背中に声を掛ける。

「もう寝るわ。おやすみ」
「ああ、おやすみ。真白」

 あれこれ兄妹・・・?