世界の端

ハーヴィー


 おいおい冗談じゃねぇよ、とフレディは叫んで頭を抱えた。隣ではシンシアが心底嫌そうな顔で「うわっ」と声を漏らしていた。

「マジかよ、今日サボろうと思ってたのによ・・・」
「突っ込むところはそこ?いや、現実逃避したい気持ちは分かるけど」

 二人の視線の先。
 他のメンバーにテキパキと指示を出すハーヴィー・・・が、何故か二人。この状況下でにこにこと笑っていられるのは彼の友人であるアレンだけだ。

「おい、お前達も仕事に行け。今日は書類整理が早く済んだからな。休んでいる暇は無いぞ」
「早く行け。お前達の仕事は別拠点の現状報告だ」

 ひっ、とシンシアが小さく悲鳴を漏らした。ハーヴィーが二人いるという光景は予想以上に堪えたらしい。ここは年上の余裕を見せねば、と無理矢理笑みを浮かべてみせるもフレディの顔も言い訳が出来ない程に引き攣っていた。
 ちょっとぉ、と今まさにやって来たところであるアドレイドが大袈裟に嘆く。

「信じられない。何でよりによってあんたが二人に分かれてんのよ。どんだけあたし達を働かせるつもりなのかしら?終いには過労死するわよ」
「構わん。代わりを見つけてくるだけだ」
「無駄口を叩いている暇があるのなら早く行け」
「ちょ・・・」
「お前の今日の仕事は――」

 アドレイドがハーヴィー達に囲まれたのを見てシンシアがガタガタと震えていた。